病原体同定グループでは、各種の次世代シークエンス技術と大型計算機を用いて、あらゆる種類の病原体の検出を可能とする新たな方法論の研究開発を行っています。
感染症の対策にはまずどのような病原性微生物が病気を引き起こしているのかを知ることが重要です。現在においてもトリインフルエンザウイルスやジカウイルス、エボラ出血熱等の新興感染症と呼ばれる新たな病原体の流行や、一時期は制圧したと考えられた結核、麻疹ウイルス等の病原体が再度流行する再興感染症が問題になっています。これまでに行われてきた検査や検出法は基本的に病原体毎の方法があり、一度に全ての病原体を検出することは不可能でした。2005年頃から急速に発達してきた次世代シークエンス技術は膨大な遺伝情報を解読することが可能です。この解読能力を利用して、感染症を発症した患者の臨床検体中に含まれる病原性微生物由来の遺伝情報を網羅的に解読することが可能になってきました。我々はこの網羅的な病原体検出法の高感度化や様々な感染症に適用して網羅性を評価する研究開発を行っています。
一方で、病原体がどのようなメカニズムでヒトに病気を引き起こすか、病原性発現機構の研究も行っています。また病気が引き起こされた後、ヒトにどのような変化が起きるか、腸内細菌叢に注目して解析を行っています。